トップアスリートであるがゆえに、知らない間に背負ってしまうものがある。
そしてそれは、心を蝕んでいくと、身体の病気と同じくらい辛い事になる。
プレッシャーという悪魔。
それはいつ、飛び出してくるかわからない。
たとえば水泳の池江璃花子選手。
今回は、彼女の身体の病気の問題ではなく、心の病のお話。
白血病という、普通で考えたらとても絶望的な病名。
私たちが小さい頃のドラマや、漫画では不治の病の定番だった。
そんな病に罹っても、「病気でほっとした」と言わしめるプレッシャーとは。
これは色んなアスリートが、罹っている病気だ。
五輪病とでもいうのか。
真央ちゃんも、羽生さんもヤワラちゃんも卓球の愛ちゃんも吉田沙織さんも、他にも色んなアスリートが罹っていたと思う。
国民の期待が大きければ大きいほど、重症になる。
オリンピックが夢、目標であればあるほど、逃げたいという気持ちを持つ事に
罪悪感を感じ、どこかへ逃げてしまいたい気持ちになるのだろう。
そんな彼、彼女らの肩にかかる重圧というものは、どれほどの重さであるのか。
誰かが「浅田真央ちゃんの重圧を私たちが肩に感じたら、きっと
立てないくらいだ」とかなんとか。
死につながる病気に罹って、ほっとした、と感じるほどの重圧。
そんな重圧を感じないといけないくらいの期待と希望。
池江さんは、病気になることで、この重圧からは一時的に逃れることができたが、
その代償というのは、あまりに辛い病気。
そしてそれを乗り越えて、今、彼女はまた、自分の戦う場所に立っている。
そこで、どういう景色が見えるのか。
きっとどのような立ち姿を見ても、私は感動すると思う。
凄まじい恐怖と重圧に勝ってきた彼女が、オリンピックで
何をつかむのか。
それをしっかりと見届けてみたいと思った。
真央ちゃんは、トリノに出ていたら、あれほどの選手になっていなかった。
ネイサンは平昌で失敗していなかったら、今のネイサンはいない。
池江さんは・・・・
きっともっとすごい選手になる。
成績はひょっとしたら、病気前の方がすごいかもしれないが、
人間として、アスリートとして、もっとすごい選手になる。