すごい。
本当にロシア女子に割って入った。
高難度ジャンプで点数を重なるロシア女子には、四回転を跳ばない選手には
到底かなわないと思われていた。
唯一上回る事ができる部分は、ＳＰ。
女子はここでは３Ａまでで、４回転は認められていない。
その３Ａも装備せず、自らの完成度で勝負しようとした坂本選手。
もちろん３Ａと４回転の会得が間に合わなかったというのもあるが、
それでも、ノーミスというのは、かなり難しいものです。
かつてさいたまのワールドで、３Ａも４回転もないザギトワが８０点を叩き出した時。
次のワールドでは女子の4回転持ちが、表彰台を席巻するだろう。
これで見納めか、と思っていた。
でもＳＰだけでも、またこのようなすばらしいスケートが観られるかと
思っただけでも感無量である。
この4年彼女にも、辛い事がいっぱいあったはずだ。
さいたまワールドではＦＳの最後のループが抜けたため、手のひらから
メダルが零れ落ちた。
翌年は、彼女も大変な時期だった。
フランス杯、昌磨に焦点が当てられがちだが、あの試合には、
ザギトワ、坂本選手も一緒だった。
彼女は、あきらかに調子を崩していた。
前年の素晴らしいどこへ行ったのか。
成績が奮わなった。
同時期のザギトワ。
彼女もトシコ達の追い上げに苦しんでいた。
とどめがフランス杯のSPだったと思う。
ちょっと着氷がすべった（転倒はないし、ステップアウトもしていない）コンボで
-5を付けたジャッジがいた。
あれから彼女は自信を失ったかのようだった。
何度もくどいくらい言うが、競技の発展を願う各界の関係者なら、
厳しい指導はいいが、選手のメンタルを削るような行為はいかばかりか。
アサインもそうだが、トップの選手ばかり優遇して、あまりにひどい。
今回の坂本選手のＳＰのジャッジは、彼女の奮闘以外に大きな功績がある。
希望とあるが、ちょっと違うかもしれない。
スポーツ競技なので、より高難度の技が求められているから、３Ａや４回転を跳ばない彼女に表彰台はない、と思われていた。
ただ、武器というのは、それだけではない、という事を証明した。
トップは無理でも、トップグループには入れるという事を。
ジェイソンがあれだけ認められているのに、坂本選手のＰＣＳが渋い事は
気になっていた。
フィギュアの楽しみは、ジャンプだけでないことを、身体をもって教えてくれた。
これは、普通の試合ではかなえられないものだった。
オリンピックの舞台だからこそ、多くの人の眼に触れ、多くの人に知られ、感動を与える事ができる。
ただ、残念なのは、ドーピングの問題で嵐が起こっているフィギュア界だから、
余計に注目されてしまった事だろうか。
高難度のジャンプを複数持っていれば、ＦＳで挽回できるが、持っていない選手は
ひとつのミスも許されない。
そういう極度の緊張感から醸し出される彼女のスケートは、爽快感たっぷりだった。
かつてソチ五輪の男子のＦＳがジェイソン・ブラウンで救われたように、
今回最終滑走が坂本選手で良かった。
すがすがしい気持ちで観終える事ができた。
ＦＳはこうはいかないかもしれないし、来期もこの構成でうまくいくかどうかは
解らない。
ただ、自分にできる最大の坂本花織でいてくれれば、感動を呼べる。
今、日本女子のエースである坂本選手。
彼女にメダルをかけて上げれるかどうかは、スケ連、JOCにかかっている。
のんきに会場で国旗を振ってる場合じゃないぞ、山下、伊東。
不正をしろ、というのではない。
うちの坂本がいかに素晴らしいか。
そして頑張った日本フィギュア団体にメダルを、とロビー活動をするのだ。
あなたたちを満足させる五輪じゃない。
即刻任務に就くがよい。
そしてＳＰ3位、ＰＢおめでとう、坂本選手！！
ＦＳも思いっきり滑れるように祈っています。
【今日の独り言】
ゆまちが、パトリックのようだ、という方もいらっしゃったが、
私は坂本選手こそ、パトリック2世と思っている。
ゆまちもツルスケだが、軽い。
パトリックはもう少し重厚なスケーティングだ。
まさに坂本花織にふさわしい。
