世界フィギュア 女子FSが終わりました。
坂本花織選手、見事金メダル。
浅田真央以来8年ぶり、というフレーズは何回聞いた事か。
それだけ、ソチ以降、ロシア女子の台頭が著しかった訳ですね。
今回、ロシアが出場しないから、と言って、この栄光には
曇りはありません。
確かに4回転はない。
でもノーミスで、GOEで稼ぐ戦略、というのが簡単でないことは
お分かりだろうか。
誰だって些細なミスはある。
羽生さんだってすっぽ抜ける事多かったし
昌磨は4-3が家でしていたし
ゆまちは、3Aがたまーに苦手になるし
真央ちゃんだって、3Aが安定している時とそうでないときがあった。
高難度ジャンプを跳べる選手は、1本くらいミスしても大丈夫なように
複数ジャンプを跳べないと、不安だと思う。
何かというと、あのたった一人でリンクに立つということが、
どれだけのプレッシャーと緊張という恐怖と戦うということが、
私たち観客にはわからない。
一緒に「わー、ドキドキする」なんてもんじゃない。
(親御さんや、コーチは別だが)
そんな中でノーミス、しかも出来栄え点を稼ぐ、ということが
どれだけすごい事か。
それを坂本花織選手はやってのけたのだ。
出来得るジャンプを総動員し、苦手なルッツにも果敢にチャレンジし、
コロナ禍で、かつドーピング問題が吹き荒れ、ワールドにはさらに
ロシアとウクライナの紛争(もう、戦争ですけどね)があり、
24時間もかけて現地入りする選手のピーキングが
どれだけ大変か。かつ、8時間も時差がある。
本当に素晴らしかった。
彼女も昌磨と同じシーズンは低迷していた。
私はグルノーブルのリンクで、昌磨にも衝撃を受けたが、
その前のワールドでかなり素晴らしい坂本花織選手を見ていたので、
あのシーズンのマトリックスは、まだまだ未完成だった。
グルノーブルでも、ミスが続いていた。
その樋口新葉選手もいたが、彼女も回転不足などのミスが克服できずにいた。
だけど、坂本選手はそこで立ち止まらなかった。
彼女は走り込み、体力と筋力のトレーニングをし、滑り切る体力をつけた。
世の中はコロナ禍に陥っていたが、その間努力し続けた。
これもモチベーションを保つのは、本当に難しかったと思う。
試合がないのだから。
リンクで滑れないのだから。
しかし、そこを乗り切り、マトリックスを完成させ、世界に「カオリサカモト」というスケーターの名を広めた。
だが、それは一部のこと。
本当に世の中に浸透させるには、やはり五輪の力は大きい。
見事北京ではメダリストとなった。
しかし、これがまた、プレッシャーになる。
五輪メダリストで、上位選手がいないから、優勝して当たり前でしょ?という
プレッシャー。
あのネイサンだって、四大陸で優勝して、GPFで優勝したって、平昌では
心の準備ができていなかったんだから。
それを乗り越えた、世界フィギュアでの優勝は、本当に一点の曇りもない。
加えて、先に演技を終えた、樋口選手の順位も知っていた。
だって、キスクラで枠が取れたか心配していた。
その時、樋口選手は10位。
たぶん大丈夫とは言え、自分が失敗したら、3枠を取りこぼすところだった。
そのプレッシャーもあったので、本当に大変だったと思う。
もう、完全な日本のエースだ。
こういう選手がエースというのだ。
今回の彼女の得点は、多回転除いた究極の点数に違いない。
そんなのを、五輪⇒ワールドと続けられたこと。
五輪の後のワールドは、調整が難しいという事だけでもすごいというのに。。。
言い忘れていたが、本当に優勝おめでとう。さかもっちゃん!
最後のループを跳んだ時、さいたまワールドの忘れ物を取り切れた気がしました。
でもあの時、最後のループを跳んでいて、銅メダルを獲っていたら、
北京はなかったかもしれないし、今回のモンペリエワールドはなかったかもしれない。
人生とは、皮肉で、やっかいで、それでいて、美しいですね。
今回は、上位選手(1位から4位)はみんな見ていて、明るい気持ちになれた。
スポーツは、真剣勝負の先にある美しいもの。
それは、こういう事だと思うのです。
みんなが真剣に戦って、やり切って、お互いに認め合って、じゃないとこんな事
(おふざけポーズ)はできない。
本当にスポーツって素晴らしいな、国境を越えているな、と感じる。
こんな素晴らしい大会にしてくれて、そして日本に金メダルをもたらしてくれて、
ありがとう、そしておめでとう。坂本香織選手!!
SOI大阪で、お待ちしております。
【今日の独り言】
表彰式で、アリサ(かな?)さかもっちゃんのメダルのリボンを直してくれていた
ように見えた。
それも良かったなぁ。
さぁ、昌磨、おきばりやす!