いまさらの感があるのですが、昌磨の4Lzの動画の件。
私はただただ、「すごい」と思いました。
昌磨ははっきりとルッツは苦手だと明言し、4Lzはたぶんやらない、みたいな事を
言っていたと思います。
しかし、しかし、ですよ。
それに着手した、という事は、かなりの意識改革が昌磨の中で行われている。
まだ、ちょっとエッジエラーは出そうな感じではありますが、
ルッツでエッジエラーは結構な人が出しているものなので、
まだ実戦投入していない時に、それをやいやい突くのは、愚の骨頂でしょう。
これが実戦投入して「できたどー!!」と言わんばかりに
拳を突き上げた、となら「おいおい」と言ってもいいですが、
今は練習中ですからね。
ここのところ、インタビューとか雑誌とか追えていませんが、
事実だけを拾っても、すごいこと。
ステファンのところへ行ってからの意識改革がすごい。
苦手、というものにどんどんチャレンジして、いつの間にか
どこかへ散歩していたサルコウも戻ってきて、平昌では転倒したループは
もはや失敗の方が少ない。
北京でメダリストとなった今でも、進化を止めない。
2019年のさいたまワールドでは、成績がふるわず、その後コーチを離れ、と
グルノーブルに続くのであるが、そこから一度堕ちて、そこからの復活と
思われる北京。
そしてその後も日本のフィギュアスケーターの中でも、年長となった今。
若手のように、チャレンジを続け、そして成功している。
今はまだ未完成の昌磨の4Lzだが、来シーズン、しれっと入れてくるような気がする。
「ネイサンチェンのような選手に」と言ってくれた昌磨。
最高難度のプロを最高の状態でキープし続け、平昌以降、絶対王者となった。
昌磨が高みを目指しているのは、はっきりとわかる。
最初は、「いやいや、さすがの昌磨でも、そうはいくまい」と
思っていた。(すいません)
でも、そろそろ現実味を帯びてきたのではないかと思えてきた。
ネイサンだってシーズン最初は構成を落として、段々上げて行った。
ルッツがダメな時は、フリップに変えたり、色々試行錯誤しつつ、
あれだけの成績を残した。
今、それができるのは、フィギュアの現役では昌磨しかいないのではないか。
マリニンがいるじゃあないか、とおっしゃる方もいましょうが、彼もすごい。
彼の持っているジャンプ構成が全部成功したら、すごい事になる。
しかし、マリニンはまだ安定していない。
SPが良ければ、FSがちょっとミスがあったりする。
これが来年になると、きっと安定してきて、手が付けられなくなる可能性が高い。
しかし、まだ高校生の彼にとって、双方揃えるというのは、難しい事なのだろう。
こうなるといかにSPとFSの両方を揃える事の難しさが解る。
加えて昌磨は、彼独自の芸術性がある。
特にバロック、クラッシックでは右に出るものがいないと思う。
ネイサンもあれほどではない。
ただ、モーツアルトのように、キレのいいアレンジになると、ネイサンの
独壇場になるが、ねっとりした上質な音楽だと、昌磨の方が合っている。
あの柔らかい背中。
背骨がしなるように動き、その蠕動とともに、滑っていくようなスケーティング。
今、まだネイサンが現役で、昌磨と一緒に試合に出ていたら、
かなりいい勝負になるのでは、と思っている。
想像しただけで身悶えするほど、見たいと思う。
たぶんそれは叶えられない願いではあるだろうけれども。
そしてそんな進化し続ける昌磨の動画に、なにやら文句を付けている
界隈があると聞いた。
私はSNSは、見たくないものはブロックしているので、幸い、ネイサンや
昌磨の中傷を見る事は少ないのだが、フォローしている方たちのツイから
かなりひどいものだという事が推察される。
その方たちの気持ちもわからない訳ではない。
自分が応援しているスケーターが、もう、試合に出る事はなく、進化の証明である
ISUの大会のスコアが出ない、順位が出ないということ。
なぜか厭世感があり、取り残されたような寂しさを感じていると思う。
しかし、現役スケーターを非難するのは、違う。
何度も言うが、どんなレジェンドでも人間は老いていく。
いつまでも過去の栄光にすがっているのは、違う。
過去の栄光はそれはそれで、称えるべきであるが、それと現役のものと比較したり
するのは違う。
なぜ、今、またこの話題になるのかなぁと思ったが、それはやはり2019年のさいたまの
ワールドがキーワードになっているのかな、と。
そのあたりについては、また近づいてきたら、きちんと思考を整理したいと思う。
多くの人にとって、ターニングポイントというか、色んな意味を持つ大会だったから。
とりあえず、さいたまの借りをさいたまで返す昌磨を観たいと思っている。