人生は、本当に素晴らしいものでもあるが、当然、本当に残酷だ。
コリヤダ君が、休養を発表した。
競技生活を休止したフィギュアスケーターのミハイル・コリヤダが、ファンに向けてコメントを発表した。
その前夜、28歳のコリヤダが競技生活の中断を決めたことが明らかになった。「すでにご存知のように、私はスポーツ選手としてのキャリアを一時休止しました。いいんだ、ただの人生だし、人生は続く!私のファンが世界で一番だということを、私はいつも知っているし、これからも知っている!みなさん、応援ありがとうございました」とコリヤダは自身のテレグラム・チャンネルに綴った。
コリヤダは2018年オリンピックの団体戦銀メダリスト、2018年世界選手権の銅メダリスト、3度のロシアチャンピオン(2017年、2018年、2021年)である。
ロシアという国で生まれたスケーター。
今は戦時中のため、軍の仕事をしているんだろうな。
だからといって、コリヤダ君が戦争に賛成しているという訳でもなく、
ただ、仕事をこなしている。
選択の余地がないのだろう。
休養とは言っているが、実質引退になってしまわないか、心配である。
もう一度。
せめてもう一度スケートを観たかった。
最後のチャンスが、あの幻の大阪のGPFだったなんて。
いつもちょっと緊張して、失敗するとものすごく悲しそうで。
でも、ネイサンと昌磨と一緒だった、ミラノワールドではものすごく嬉しそうで、
楽しそうで。
そしてTHEICEに来てくれた時も、ものすごく楽しそうで。
ミーシンのところに移籍して、さあこれから、という時にコロナ。
明けたら、戦争。
本当に悲しい。
私たちも悲しいが、本人が一番辛いはず。
でも、「ただの人生だし、人生は続く!私のファンが世界で一番だということを、私はいつも知っているし、これからも知っている!」というコメントに詰まっている
「人生」という言葉。
確かにただの言葉なんだけれども、人によって千差万別。
ひとつとして同じものはない。
だから(ただ)の人生はないよ、コリヤダ君。
でもそう言い聞かせているに違いないと思ったら、本当に胸の潰れる思いだ。
戦争は本当に人の希望も人生も打ち砕く。
今、齢28歳のコリヤダ君が、復帰できるか、と言ったら、たぶん現役では無理だろう。
人は何故、困難な事に立ち向かわないといけないのだろうか。
神は乗り越えられない人に困難を与えないとは言うが、乗り越えられる人であっても
過重な困難を与えるのはどうかと思う。
ただ、ひとつ言えるのは、そういう苦労を乗り越えて、なおコリヤダ君の
スケートは美しい。
ジャンプのミスはあるかもしれないが、スケーティングスキル、ステップ
表現力、どれを取っても芸術の域だ。
これがもう見られないなんて、信じられない。
生きるか、死ぬか、というロシアのご時世では、致し方ないとはいえ・・・・
それでも生きていく事を決めたのだ。
スケートに捧げた人生を「ただの人生」と言い捨てて。
上を向いて、涙がこぼれないように。
もう現役は敵わないかもしれない。
けれども、いつかロシアに平和がやってきたとき、コリヤダ君がリンクに
立てる事ができますように。
祈るしかない。
【今日の独り言】
それでもコリヤダ君に、寄り添ってくれる奥様がいる事が救い。